深く多面的に、考える。

都城で輝く女性たち #04

活躍する女性3人の思い 人生、楽しく生きたもん勝ち!

今回は、都城でキャリアを築き、“輝く”女性3人が、「男女格差」から都城の女性像、離婚、まちづくりの提言まで、多岐にわたって鼎談を繰り広げます。

ジェンダーギャップ、感じますか?

—— 日本の「ジェンダーギャップ(男女格差)」は世界の先進国で最低レベルにあります。また、地方のほうが都市部に比べて男女格差がある傾向にあります。都城に住み、働く身として、どう感じているのか。そのあたりからお聞かせください。

小野祐希(おの・ゆうき)

小野祐希(おの・ゆうき)
シフトプラス都城営業所副所長。都城市出身、39歳。都城市役所の臨時職員などを経て、2017年、33歳で、ふるさと納税の関連業務を受託しているシフトプラスに入社。2022年、副所長に就任。都城市などからのふるさと納税関連の業務委託を束ねている

小野 日常的になにか格差を感じているかというと、あまりないです。たまに、あっ、と思うことはあります。例えば、寄附者さまのクレーム対応の際、「上を出せ」と言われたときに電話をかわると、「いや、オンナかよ」みたいな発言をされたり。そういうときに感じます。

yuki 私が前にいた会社は、もともと女性が少ない職場で、特に制作の現場になると男性が多かったのですが、私はそれが楽で。動じないというか、言いたいことは言って、それなりにちゃんと聞いてもらい、自由にさせてもらっていたので、自分自身は、あまり格差を感じたことはありませんでした。

藤高 私も、二十歳くらいに建設会社の事務をしていたときは、ほとんどが男性の職場で女性の事務員が3人という感じで、それが当たり前みたいな風潮だったので、そのときは格差を感じたことはあります。今は本当に女性ばかりの職場ですし、仕事をしながらそういうことを考えたり、感じたりはしないですね。

「彼氏作らないの?」「雇わないの?」

藤髙未紗(ふじたか・みさ)

藤髙未紗(ふじたか・みさ)
フジタカデザイン社長。都城市出身、44歳。2011年、32歳で独立。フリーランスとしてウェブサイト制作などを手がける傍ら、2013年、都城の地域情報サイト「ビィハピ」を立ち上げる。2021年4月、株式会社フジタカデザインを設立。1500点以上ある都城市のふるさと納税のバナー画像デザイン・制作を一手に引き受けている

藤高 ただ、仕事・プライベートにかかわらず、「彼氏を作らないのはもったいない」と言われるのは気になります(笑)。どういう意味での「もったいない」なんだろう、と思っていて。

yuki 私は「なんで人を雇わないの?もったいない」とかは、結構言われます。ありがたいんですけどね。ただ、自分の性格と言いますか。どちらかというと、リーダーがいてそれを支える裏方。例えば、うちの主人がやっている居酒屋のことやイベントなども、裏方が向いてるというか、これでいいと思っているんだけれど。その感覚に、今のお話は近いのかなと。

藤高 そうおっしゃる方は、「世間的にそれが当たり前」という常識を持たれていて、それを伝えているのかな。

yuki(ゆき)
創良紙.works デザイナー。鹿児島市出身41歳。小学生の頃に親の転勤を機に約30年以上、都城で暮らす。市内の印刷会社勤務を経て2013年、独立。現在、夫とともに、居酒屋の経営に携わりながら、日中は、ロゴデザインや、パッケージデザインをはじめ、主に、行政・企業・飲食店・美容室など、さまざまな媒体のデザインを手がけている

yuki たしかに。「なんで子どもがいないの?」とか、気にかけて言ってくれる人もいるけれど、たまにびっくりするような表現で言われたりは、あったかなぁ。

小野 デリカシーないですね……。

yuki 東京だったら大問題だろう、みたいな言われ方もありましたね(笑)。まあ、うまく返す技も身につけましたし、私は今の主人と2人の生活、すごく幸せです。

都城の女性像「責任感が強い」

—— 都城の女性に対しては、どんな印象というか、女性像を抱いていますか?

藤高 私の周りは、自分でなにかしら動いている方だったり、その考え方がすごく好きだと思える方だったり、人として素晴らしい方、素敵な方が多いなと思っていて、だからこそ、自分も頑張れるというか、良い影響をいただいています。

yuki そうですね。今、(藤高)未紗さんが言われたことは本当に同感。私のデザインの仕事も、お客さまは地元の方が多いんですけれど、女性で起業されて、お店をやられて10年という方も何人かいらして、そういう方々の過程をずっと見させてもらっているなかで、どんなことがあっても、なにがあってもやっていこう、みたいなエネルギーを持っている方がすごく多いのかな、と感じています。

小野 でも、頑張り過ぎちゃう、みたいなところはある気がします。例えば、スタッフが子どもを迎えに行ってオフィスに戻り、買ってきたお弁当を横で食べさせながら、夜遅くまで仕事をしている。もちろん「強制」はしていません。「早く帰ってね~」と言っているんですけれど、そういうスタッフはたくさんいます。

うちの場合は、やらなければならない仕事が終わったら休めるとか、ある程度、自分で調整できるので、そういうのも影響しているとは思うんですけれど、それにしても、仕事への責任感がすごいというか。まじめなのかな。本当に「大丈夫なの?」と心配になるくらい、頑張っている人が多い。

藤高 たしかに。責任感はすごく強いかもしれないですね。

夫婦円満か、離婚して幸せか

—— 宮崎県の離婚率が全国平均より高いというのはデータとして出ているのですが、肌感覚として、周囲でも離婚している女性はわりと多いと感じられますか?

yuki そういう数字が出ているというのは聞いたことはあるんですけれど、あくまで一つの選択肢として離婚する道もあって、それを自分で選んでいるという感じもするのと、未紗さんのように、離婚という道を選択された女性がどんどんステップアップしていくのも見ています。お子さんのためにも、ちゃんと未来を築いていこうという想いや行動力、パワーを感じます。

藤高 でも、どっちかなの。離婚して幸せになるのか、夫婦ですごく仲良くて幸せなのか。極端な気がします。

男女が、尊敬し合ってずっと一緒にいられるって奇跡だと思う。いつも友達に「奇跡の夫婦やね」と言っているんだけれど。yukiちゃんのところもそうだと思うし、本当、すごいね。

yuki 本当にありがたいなと思いますね。もちろん、日々いろんな問題はありますが、コロナ禍でお店を改装して、音楽も楽しんでもらえる空間を作ったり、イベントなども企画したりと、一緒に切磋琢磨できる存在でもありますし。

小野 うらやましいなと思います(笑)。私は、今は離婚してよかったな、とは思いますけれど、それは結果論。きっとそうじゃない人もいると思いますし、ここにくるまで苦労もありました。

つらい自分でいることを選択している

—— 出産・子育てや離婚など、ライフステージの変化によって、我慢している女性、苦しんでいる女性もいます。

藤高 私も、つらい時期もありましたよ。「自分らしさ」を出せている今の自分と、かけ離れていた時期もあったんだけれど、でも、それがあるから今があるんです。

私は、自分らしさを出せるように変わったきっかけがあって。

離婚のときなんですけれど、本当はどういうふうに生きたいのか、どんなことをやっていきたいのかとか、自分を見つめ直したタイミングで「変わりたい」と強く思って。そこから変わる努力をし続けていった。そういう選択をしていきました。

デザインで都城を支える女性集団 フジタカデザイン社長・藤高未紗さん

藤高 今思えば、つらいと感じていた時期の私は、自分がそこを選んでいたというか、じつは心地がよかったのかもしれない。そういう自分であることを選択していた側面はあると思います。

yuki 私も、「私、なにに気を遣っているんだろう」みたいな時期はあったんですね。幸せになりたくて、一つひとつ選んでいるんだけれど、なかなかそううまく行かないことも、人生ありますよね。

人に恵まれている

小野 私は離婚もそうですし、今の仕事もそうですが、そのときそのときの思いつきで行動するタイプでして。離婚となって、子どもに不憫な思いをさせないように育てようと思ったとき、やっぱり稼がないといけないから「どうしよう」と思って。でも幸い、私は運よく今の会社に入れてもらっていたので、誰よりも頑張ろうと。

それまでの私は、なんとなく生きるために働く、という感じだったんですけれど、それが今の仕事に変わってからやりがいを見いだし、プラス、子供たちを育てる責任も伴って。タイミングが、運よく重なったということだと思います。

地方に寄り添うシフトプラス 巨大市場の黒子が狙う次の官民“共創”

藤高 小野さんの上司の方から、「人とのコミュニケーションは小野さんじゃないとだめ」というお話をすごく聞いているので、やっぱり小野さんの人柄とか優しさとか、そういったところをちゃんと見てもらえているからこそ、今があるんだろうなと私は思います。

小野 本当に人には恵まれているなと思います。自分で。

藤高 私も人に恵まれているとすごく思っていて、それこそ人との縁を大事にというか、いただいた恩はどこかで返したいという思いがすごくあって。そこは大事にしています。

yuki 本当にそうだなと、聞いていて思います。ただ私は、日々の仕事に追われてしまって、「ご縁を大事に」をなかなか実行できてないこともあるので、未紗さんたちはそれを体現されていて、本当にすごいなと思います。そういうのが、ちゃんとできるようになりたいです。

あと、自分の思考回路としては、考えが「人のせい」にいくときは、ずっと迷路にいる感じがするから、人のせいにしているうちは違うなと思い直すようにしています。

ジェンダーギャップ、経済「全国6位」の実感

—— ジェンダーギャップ指数を「政治」「行政」「教育」「経済」の4分野で男女格差がどれだけあるかというのを都道府県別に分析した全国ランキングがあります。宮崎県は、政治・行政・教育が30位後半から40位代と低調ですが、経済だけが2022年版で6位、2023年版で23位とまずまずでした。意外と女性が「稼ぎやすい」土地なのでしょうか?

yuki いや〜、どうだろう……。それはわからないですね。

小野 決して稼げはしない。

藤高 女性が、ということではないんじゃないですか。

小野 それ。もともと男性の収入が高いわけではないので、たしかに男女格差はない。でも、女性が稼ぎやすいわけではない。めちゃくちゃ肌でそう感じます。

—— 女性のチャンスが多い、という話でもない。

yuki そういう感じではないと思います。むしろ一筋縄じゃいかないなぁと思うこともありますからね。

藤高 そして、良くも悪くも噂はすぐ回る気がしますね。

それでも都城に残る理由

—— それでも、皆さん、この地に残って仕事を頑張っているのは、なぜですか?

yuki 私はいろいろ理由があるんですけれど、都城がつまらないと思ったことは一度もない。むしろ、とても楽しいです。そして、10キロ圏内をぐるぐると100キロくらい走って仕事をさせていただいているような感覚で(笑)。

私自身が至らないことが多いのですが、この今の環境や、お仕事をいただけていることに感謝でいっぱいです。

藤高 私は、都城が好き。それに尽きるかな。福岡に住んでいたときも、週1くらいで一人で車で通ってきていて。飲みの場が多かったし、若かったから、すぐに帰ってきて。こっちに住めば?というくらい(笑)。

みんなで思いを共有するとか、なにか楽しいことを一緒にするとか、そういうことが私はすごく好きで。野菜もおいしいし、お肉もおいしいし、お酒もおいしい(笑)。コロナでちょっと引いたけれど、今でも都城はそういう楽しい場所なので、大好きです。

yuki 月1くらいで定期的に集まって飲む「もえ」みたいな風習があったりしますもんね。寄り合いを意味する方言ですが、私たちだけじゃなくて、おじいちゃんたちも、おばあちゃんたちも、お友達同士とか公民館単位とかでやっている。「今日はもえやー」って(笑)。

小野 私も、そんなに友達は多い方ではないですけれど、高校を卒業してからも月1で絶対に集まるとか、独身のころは毎日のように誰かの家に集まって、「さぁ、飲みに行こう!」というのが頻繁だったので、退屈ではなかった。遊ぶところがなくても、それでも楽しく過ごしていました。

最近の若い子は、もえとは言わないかもしれないけれど、定期で集まって楽しむみたいな文化は、まだあると思います。

この先の未来へ

—— 皆さんが大好きな都城の未来を考えたとき、後に続く女性や子どもたちのためにしてあげたいこと、すべきことはなんでしょうか?

yuki おこがましくはなるけれど、自分で考えて自分で作っていく「場」がもっとたくさんあれば、楽しいというか、子どもたちにとってもいいのかなと思っています。私、妄想するのがすごく好きで、妄想って頭の中でなんでもできるから、思考の遊園地みたいな感じがして面白いなと思っていて。なにか「思考の学校」みたいなことができたらいいなと。

例えば、ちょっと堅い話だと、マスクをするにせよ、しないにせよ、言われたからそうするのではなくて、なんで自分がしているか、あるいはしないのかを説明できるようにしてあげるとか。ルールだから、ではなく、自分の考えでそういう判断ができるようになれば、それこそ生き方の「選択」にもつながっていくんじゃないかなと思います。

小野 今、yukiさんが話していた「自分で考える」というのは、今の会社を見ていても、めちゃくちゃ大事だなと思っていて。「自分で考えて動ける」人と、「仕事を待っている」人と、極端な2パターンに分かれます。

やっぱり、会社的に助かる人材、どんどん上に上がっていく人は、自分で考えて仕事を取りに行ける人。なので、子どものときから考えることが身についていれば、きっと将来いい人材になるんじゃないかなと。

藤高 私も常々、同じようなことを自分の会社のみんなにも言っていて。うちの会社は「待ち」じゃなくて、本当に自分が楽しいと思えることを自分で見つけられる人材の集まりなんだよと。待ちだったら、うちじゃなくていいんじゃない?という話はよくします。

あと、私はなにかしらの「場」をつくることがすごくしたくて。私が好きなデザインとかアートとか食を通して、大人も子どもも、みんなで一緒に楽しんで体験できるようなイベントを、定期的に開催しようとしています。

2月19日には、「usaginingen」という自作の映像機と楽器を使った夫婦パフォーマンスユニットをお呼びして、昼間は子ども向けのワークショップを、夜は大人が楽しめるトークショーも交えたパフォーマンスを、フジタカデザインのオフィスで披露してもらいました。

こういうのを、今から着々と広げていこうかなと思っているんですけど、それは、地域貢献とかビジネスとかじゃなくて、ただ自分が見たいから(笑)。なかなかそういう機会が都城にはないから、作ろうって。きっと、それをみんなと共有したいんだろうなぁ。

yuki 本当に、それは一緒かもしれないです。私も、主人主催で立ち上げた音楽イベントを「Mallmall(まるまる)」などでもさせてもらっているんだけれど、主人も、原動力は「自分たちがこの光景を見たいから」という想いだと思います。みんなと一緒に感動したり、声を出して楽しんだりしたりする、あの感覚を一度味わうと忘れられません。

考えることで世界が広がる

—— 最後に、都城の女性たちにメッセージを。

yuki なんだろう。“だいたい”でいいんだよ〜と言いたいけれど、自分がだいたいすぎて……。怒られそうだから言えないです。

藤高 わかる。私も本当にそんな感じで、“てげてげ”でという感じでしょうか(注:「だいたい」を意味する方言)。人生は短いんだから、楽しく生きた方が楽というか、楽しんでいこう!みたいな。私自身が、「楽しく生きたもん勝ち」ということに気づいたから。

yuki あとは、さっきも話しましたけれど、やっぱり「考える」というのが、最近の私のテーマでして。だから、「一緒に思考していきましょう」みたいことは言いたいかな。知識を掛け算するとすごい面白いことができるって、仕事をやりながらも思う。考えて、アイデアを出して、動いたもん勝ち。自分もなかなか動けてなかったりですが。

今、自分には子どもがいないんですけれど、子どもがいるんだったら、そう教えたいという妄想をしながら、考えています。考えることで世界が広がっていく、みたいな?

小野 「考える街」って、かっこいいですよね。

—— 「肉と焼酎」の後に続く都城のキャッチとして、いいかもしれませんね。本日はどうもありがとうございました。

藤高yuki小野 ありがとうございました!

 

  • 筆者
  • 筆者の新着記事
井上 理(いのうえ・おさむ)

フリーランス記者・編集者/Renews代表。1999年慶應義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。「日経ビジネス」編集部などを経て、2010年日本経済新聞に出向。2018年4月日経BPを退職。フリーランス記者として独立し、Renews設立。著書に『任天堂 “驚き”を生む方程式(日本経済出版社)』『BUZZ革命(文藝春秋)』。

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