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なぜ千葉ロッテは都城を選んだのか <span>池田市長が語るキャンプ誘致の舞台裏</span>
スポーツ立国への道 #06

なぜ千葉ロッテは都城を選んだのか 池田市長が語るキャンプ誘致の舞台裏

  • 千葉ロッテ2軍が春季キャンプ地として都城を選んでから、わずか1年後。
  • 今度は1軍も石垣島から都城へキャンプ地を移し、2026年は大きく沸いた。
  • 都城市は誘致にどう動いたのか。水面下での戦略も含め、池田市長が語った。

「正直、プロに声もかけられない」

—— 昨年の2軍に続き、今年は千葉ロッテマリーンズ(以下、千葉ロッテ)の1軍も都城で春季キャンプを行い、昨年以上に大きな話題となりました。なにが、このスピード感で1軍キャンプを引き寄せたのか。今日は経緯を詳しくお伺いしたいと思います。

春季キャンプの期間中、都城運動公園への来場者数は延べ約4万9000人を記録した

池田宜永市長 長い話からいくと、もともと(2012年に)市長に就任して、「スポーツキャンプ」「スポーツ合宿」という世界がすでにありましたが、都城はほかの県内自治体に施設面でまったく追いついていなかった。正直、プロに声もかけられない。そう思っていたんですね。

だから当初は、アマチュアにターゲットを絞って、スポーツ合宿の政策を推進していましたが、都城運動公園の野球場に関しては、グラウンドもスコアボードも正直ひどかったので、徐々に予算を計上して段階的に整備しました。

池田宜永市長がプロ野球キャンプ誘致について語った(堀之内恵子撮影、市長写真は以下同)

池田市長 ただ、将来的にプロ野球でも使ってもらいたいとなると、野球場だけではいかんともしがたい。都城運動公園は一方で、非常時の防災拠点でもありましたので、防災の観点で国から交付金もいただいて、市の負担を軽減しながら、プロ野球でも利用できる屋内競技場、投球練習場(ブルペン)、サブグラウンドという新たな3施設を設けたというわけです。

通常は市民に使ってもらいながら、プロも活用できるような施設群に整えた。そういう流れです。

野球場は大規模改修で生まれ変わり、屋内競技場(左奥)など新たに3施設が整備された

水面下での交渉、後押しした「要望書」

—— 昨年のインタビューで「結果として、賭けに勝った」というお話を伺っています。屋内・ブルペン・サブの3施設を整備したとしても、プロ野球が来てくれる保証はない。だけど、来なくても、防災というバックアップ機能があるため、失敗ではなくなります。

池田市長 だから、そこはすごく難しくて、3施設については「防災機能」が前面なんですよね。決して、プロ野球を呼ぶためだけでは、できない。

2022(令和4)年に事業化する時からずっと言っていましたけれど、我々も、プロ野球の側にも、お互いに「立場」がある。球団が「何年後に来ます」と言って、それに向けて行政が「じゃあ整備します」なんていうことは、現実にはあり得ない。球団からしたら、「なんで? 約束しなければならないの?」みたいな話ですよね。

なので、まず市民のためのいざという時の防災拠点として施設環境を作りつつ、「プロ野球に対して、こういった形で整備を進めています。ぜひご検討ください」という話をしていました。

プロ野球を呼べる3施設の事業化にめどがついた2022年。都城市は芽生えた“気持ち”をプロ野球の球団に対して伝え始める。

ターゲットとなったのは、当時、宮崎県“以外”でキャンプを張っていた7球団。なかでも、沖縄県・石垣島と糸満市で春季キャンプを実施していた千葉ロッテは練習施設の確保などに苦慮しており、池田市長の命を受けて“働きかけ”を開始していた都城市役所のスポーツ政策課は、当初から注目していた。

都城観光協会や都城商工会議所など6団体から、プロ野球キャンプ誘致を求める要望書が提出された

一方で、2022年5月、一般社団法人 都城観光協会や都城商工会議所、都城市ホテル協会など、地元の6団体から連名で、「都城市の地域資源を活用したプロ野球キャンプ誘致に関する要望書」が池田市長に提出された。

「改修を終えた都城運動公園野球場との相乗効果も含めその整備効果を最大限に発揮でき、コロナ禍における地域経済のV字回復や地域の宝である子どもたちの競技力の向上にもつながることが最も期待できる『都城運動公園へのプロ野球キャンプ誘致』を要望するものです」――。

行政だけでなく、地域もまた、同じ方向を向いていた。民間の要望が市役所の背中を押し、誘致は加速していく。

2022年2月、千葉ロッテと初コンタクト

—— 水面下でプロ野球キャンプの誘致を模索していたとのことですが、最初から千葉ロッテありきで動いていたのでしょうか?

池田市長 それはまったくないです。ただ、さすがに宮崎県内でキャンプをやっている球団を引っ張って来ることはできない。宮崎市のソフトバンクをこっちに連れて来るとか、それはもう絶対に無理です。

そうすると、結果、沖縄でキャンプをしている球団を意識しますよね。だから1軍は、宮崎県でキャンプをしている読売ジャイアンツ(巨人)、ソフトバンク、オリックス、西武、カープ以外の「7球団」がまずは対象になるということです。

2026年、千葉ロッテマリーンズが加わり、宮崎県内のキャンプ実施球団は6球団となった(宮崎ブーゲンビリア空港)

池田市長 7球団でどこというのはなかったんですけれど、職員がいろんな情報を持ってきてくれるなかで、どうも千葉ロッテはキャンプ地に課題を抱えているのではないか、という話が聞こえてきました。

一方で、千葉ロッテは私が子どもの頃、沖縄にキャンプ地を移す前は、鹿児島の「鴨池野球場」でキャンプをやっていたんです。

そういうのもあって、近いなと。それだったら、話してみる価値はありそうだなと思い、千葉ロッテの球団幹部が宮崎に来られた時にお会いして、「我々としては、こうした施設整備にはそういう思いがあります」という意思表示をさせていただきました。

—— その最初のコンタクトはいつのことでしょうか?

池田市長 2022年度の当初予算で3施設を作ると発表したあとでした。2022年2月、オリックスのキャンプ地でもある宮崎市の清武総合運動公園に僕が行ったんです。

そこで「球春みやざきベースボールゲームズ」が開催されていて、オリックスと千葉ロッテの試合があって、千葉ロッテの球団幹部も来られていました。だから、ロッテとの話を他球団のキャンプ地でさせていただいたんです(笑)。

球場内にちょっとした部屋があって、そこをお借りして、「すみません、お時間をいただいて。じつはこうこう、こういうあれで、予算もつけて、こういう施設を作るんですけど」と、もう本当に簡単な紙1枚だけで、ご説明をさせていただきました。10分、15分だったと思います。

設計段階で球団からもらったアドバイス

—— どんな感触でしたか?

池田市長 ちゃんと話を聞いてもらえてよかったなと思いましたけれど、べつに、それだけで、「よっしゃ、いけるぞ!」とか、そんなのはまだぜんぜん、なかったです。

でも、それでいいんです。さっきもお話したように、完成する前から、球団が「じゃあ行きますよ」なんてことはない。私としては、こちらが動かない限りは、絶対に箸にも棒にもかからないと思っているので、まずはこちらが先行する。

3施設は当然、通常時は市民にも使ってもらえますし、防災上のバックアップでもあるので、それもあってお願いに行けたというところもあります。

2022年2月の千葉ロッテとの初コンタクトから、千葉ロッテ2軍が都城で春季キャンプを初めて実施する2025年2月まで、丸3年。その初キャンプが決まり、発表される2024年1月まで、2年弱の月日が流れている。

プロ野球キャンプ誘致に関しての確約や保証、決定事項はなにもないまま、3施設の建設が進んでいった。それでも都城市は、防災の観点で3施設を作るなか、プロ野球にも使ってもらえる「設計」を模索した。

2025年1月に供用開始された6人立ちの投球練習場(ブルペン)

どうすれば使ってもらえるのか。市はスポーツ政策課を中心に、水面下で球団からのアドバイスを受けながら、施設の完成を急いだ。

アドバイスをくれたのは、関係が構築できていた巨人、ソフトバンク、そして千葉ロッテ。なかでも千葉ロッテの関係者は、都城まで出向いてまで、設備面でのニーズから防球ネットの仕切り方まで、詳細な意見をくれた。

つまり、結果として利用者のニーズをあらかじめ取り込んだ設計ができていた。

—— 3施設の工事が進む傍ら、球団とのコミュニケーションも維持していたのでしょうか?

池田市長 けっこう、水面下でやっています。

実際、プロが使うとなると、やっぱり使い勝手が良いほうがいいですし、例えば「仕切ネット」にしても細かい仕様があるようです。だから、設計の段階でプロの意見を入れてもらう。そこを意識して設計したことも、結果につながった要因なんじゃないかと思います。

その間、ほかの担当も、他球団の1軍キャンプ地を見に行ってくれて、例えば屋内練習施設の広さとか、そういうのも考慮しながら、3施設の建設を進めていきました。

2軍キャンプ決定の報を受けて

2024(令和6)年1月22日、千葉ロッテマリーンズの本拠地であるZOZOマリンスタジアム。ここで、千葉ロッテと都城市が共同記者会見を開催。ついに、2025(令和7)年から都城運動公園で、千葉ロッテ2軍春季キャンプ、および秋季キャンプ(1軍・2軍)の開催が決定したと発表された。

2024年1月、千葉ロッテの本拠地「ZOZOマリンスタジアム」で共同記者会見を行った

千葉ロッテが都城に来る。そのことを都城市が察知したのは2023(令和5)年5月と、発表の半年以上も前のこと。球団が都城市役所を訪れ、「球団及び経営陣の了解が取れれば、2軍の春季と1・2軍合同の秋季キャンプを3施設が完成する2025年からお願いしたい」という意向を内々に伝えた。

同年12月、千葉ロッテの球団および経営陣まで了承が得られ正式に決定。翌24年1月の記者会見へとつながった。

—— 2023年12月に、球団から意向を聞いた時、どう思いましたか?

池田市長 来たかと。それはもう、ありがたいなと思いました。

事前にある程度、千葉ロッテさんの反応はどんな感じなのか、都度、聞いていましたので、そういう方向になるのかなとは思っていましたが、やっぱり、決まったと聞くと、ありがとうございます!という感じで、うれしかったですね。

—— 1軍春季キャンプの話はされたのですか?

池田市長 その時点ではまったくなにも出ていないです。ゼロです。でも、それでもうちはもう満足。とりあえずよかったと。ありがたいと。

—— そこで、「1軍もぜひ!」ということは言わなかったのですか?

池田市長 一切言っていません。そんなことを言ったら、その時点で破談する。何を言ってんの、みたいな話です。(色気なんて)1ミリも出していないです。そもそも、最初から1軍なんて、そんな大それたことまで思ってもいなかったですから。

千葉ロッテの前に、2023年から巨人の3軍も春季キャンプで都城に来てくれて、半世紀ぶりにプロ野球とようやくまたご縁ができて。そこからの流れで、千葉ロッテ2軍が1カ月、フルでいてくれるということなので、それはもう、ありがとうございます、と。

1軍への道、青天の霹靂

2025年2月の春季は、2軍キャンプという位置づけだったが、じつは終盤、一部の1軍選手も1週間ほど都城キャンプに合流していた。

2025年10月末から11月にかけて、1・2軍が合同で行った秋季キャンプでも、一部1軍選手が都城へ来ている。その直前、2025年10月17日、千葉ロッテより「春季キャンプ地変更について」という発表があった。

2025年10月、千葉ロッテがキャンプ地を変更すると発表した千葉ロッテ公式サイトより)

それまで沖縄県・石垣島で一次キャンプを実施していた1軍は、都城に変更。2軍は一次キャンプの場所を石垣島とし、二次キャンプで都城に来るというもの。

そのことを都城市役所が認知したのは、発表の前月、25年9月のことだった。同年2月に2軍キャンプが終わってから7カ月足らず。驚きのニュースが飛び込んだ。

—— 2026年2月の春季キャンプで千葉ロッテ1軍が来ることを知って、どうでしたか?

池田市長 来春1軍……。ありがとうございます!って。もう、青天の霹靂でした。

2軍キャンプが決まってから、担当のみんなを呼んで、こう言いました。とにかく1年目の2軍キャンプ、ここで、球団にいいキャンプができたと思って帰ってもらえるようにしっかりと対処しようと。

その時に私が言っていたのは、「球団からなにかを要望されたら、すぐにやりなさい」と。素早く対応することが球団からの信頼を得て、それが、もしかしたら将来的に1軍キャンプへつながるかもしれない。だから、本当にちゃんとしてくれ、しっかりやりましょうと話していました。それが、2023年12月かな。

繰り返しになりますが、その時点で、じゃあキャンプ2年目に1軍が、なんて思いは私のなかに1ミリもない。

私のイメージは、まぁがんばって、2〜3年くらい経ったら、もしかしたら、2028年とかには来てくれることになるかもしれない。だから、まずは2軍の都城キャンプで実績を積んでいこう。それしかないです。さすがにこのスピード感で1軍が来てくれることになるとは、想像もしていませんでした。

—— よもや1軍が来るなんて思ってもみなかったけれども、2025年9月にそれを知り、ドタバタで補正予算を組んで受け入れ準備をしたわけですね。

池田市長 はい。詳しくは担当に聞いていただければと思いますが、私から担当に言ったのは、2軍の時と同じです。「しっかりと対応しなさい」と。「球団からの要望はしっかり聞いてね」と。それだけを言いました。

お風呂で降った「コアラのマーチスタジアム」

2026年春季の1軍キャンプが決まったあと、もう一つの大きな出来事が持ち上がる。ネーミングライツだ。

2026年2月、都城運動公園野球場は「コアラのマーチスタジアム」と命名された

野球場、屋内競技場、ブルペンについて、それぞれ「コアラのマーチスタジアム」「パイの実ドーム」「クーリッシュブルペン」と、千葉ロッテのグループ会社であるロッテの主力商品名が冠されることになった。

ネーミングライツの運用は、1軍がキャンプインする2026年2月1日から。初回の契約期間は、2027年3月末までとなっている。

きっかけは、池田市長のひらめきだった。

—— ネーミングライツは、1軍キャンプ決定と同時に湧いた話なのでしょうか?

池田市長 ネーミングライツは、1軍とはまったくべつの文脈で、これもまったく想定していなかった話です。どこまで言っていいんだろう……。ま、言います。まず真実を伝えます。

これはですね、昨年(2025年)12月の中旬に、私が自宅でお風呂に入っていたら、突然、ちょっと“降ってきた”んですよ。「コアラのマーチスタジアム」が。

—— 中心市街地活性化における「図書館のリニューアル」も、池田市長にアイデアが降ってきたことから始まりました。

池田市長 そうなんですよ。しかも、降ってきたのは「ネーミングライツをやろう」じゃなくて、コアラのマーチスタジアム(笑)。それがお風呂のなかで、私の頭を駆けめぐったわけです。

この愛称なら日本人ほぼ全員が知っている。かわいらしいし、覚えてもらえるし、どうだこれ、来てるなぁ、と思いまして。

翌朝、すぐに担当の部長や課長、みんなを呼んで、「ちょっとひらめいたんだけど、ネーミングライツをやりたい」と。で、「野球場は『コアラのマーチスタジアム』。これは、マストね」と伝えました。もう、コアラのマーチスタジアムだけは、譲れんと。

ほかの施設については、任せると。そこはべつに愛称を付けてもらっても付けなくてもいい。ただ、スタジアムだけは、コアラのマーチにこだわりたいので、そこだけ、なんとか球団に聞いてもらえないかと頼んだのが、12月の半ばだったんです。

わずか半月で内諾、協力的なロッテ本社

—— 職員はどういう反応でしたか。「はぁ?」なのか、「いいね!」なのか。

池田市長 それは、「はぁ?」に決まってるじゃないですか(笑)。なにをまた言い出したみたいな。また、わけのわからんことを市長が思いついたぞって。

—— ロッテ側の反応はどうでしたか?

池田市長 それが、意外に反応が良くって。けっこう早かったです。やるっていう回答まで、半月くらいでしょうか。年内には内諾を得ていました。

やるのは、球団ではなくて、ロッテ本社ですから、下手したら何カ月かかかってもおかしくはない話ですが、球団も本社もキャッチしてくれて、意外とすんなり決まりました。

基本的に球場のネーミングライツというのは、そこを使う球団とは別の企業やブランドが取得することが多いと思いますので、今回のようなケースは初かもしれません。ましてや企業名ではなく、商品名ですから。

ただ、あまりにも急だから、何もできないじゃないですか。だから、ネーミングライツが決まったあとに私が言ったのは、やっぱね、枯れ木も山の賑わいだと思って、とにかく、のぼり旗だけはやってくれと。コアラのマーチスタジアムと書かれた旗をはためかせてほしいと。それだけでも空気感が変わるからと言って、あとはもう任せて。

そうしたら、なんかね、球団も本社もすごく乗ってくれて、商品名もロゴのまま使っていいよと仰ってもらえて。先方も非常に協力的だったこともあって、キャンプインに間に合わせることができたというかたちです。

市内事業者の協力も得て「コアラのマーチスタジアム」の旗などを多数、用意した

なぜ早期の1軍誘致に至ったのか

—— ネーミングライツも1軍のキャンプ誘致があってこそ。なぜ、千葉ロッテはこのスピード感で1軍キャンプまで決めたのでしょうか?

池田市長 それは、私どもにはわからない部分もありますし、単純な理由ではないと思います。施設を気に入っていただけたということもありますが、やっぱり2軍への対応を見ていてくれていたことも大きいのではないでしょうか。

職員も本当に一生懸命やってくれたと思いますし、ホテルや食事のスタッフを含め、関わっていただいた全員ががんばってくれて、そのことが、選手や球団関係者の方々に刺さった。良かったと思っていただけた。そこが大きいですよね。

球団の内部事情は我々にわかりませんが、そうじゃなければ、こんなことは普通、ないはずなので。

—— サブロー監督も選手も、とにかく食事がおいしいとおっしゃっていました。

池田市長 皆さん言ってくださるんですよね。それはプロ野球に限らず、Jリーグの選手も言ってくれます。必ずそれは出ます、声として。うれしいですよね。

ですから、宿泊と食事を担当してくれたホテルの力というのも、大きかったんじゃないかなと思っています。

スタジアムでも、ホテルでの食事と同じように温かく豊富なメニューが提供された(都城市提供)

—— “おもてなし”という言葉を使ったら陳腐かもしれませんが、都城のウェルカムな姿勢や熱意が伝わった。お肉なり、野菜なりの差し入れをいろんな組織や団体が続けてきたことも1軍誘致という結果につながったのではないでしょうか。

池田市長 それは、あったと思います。感じていただいたと思います。

市、観光協会、都城プロ野球キャンプ協力会、都城市スポーツコミッション(MSC)、企業、それぞれが、牛、豚、鶏、あとは野菜や果物もお贈りしています。

そういうのは、千葉ロッテに限らず、Jリーグも含めて、なにも言わずとも、皆さんが当然のこととして常々やってくれている。関係者からするとあたり前のルーティーンになっているかもしれません。

それが結果として、球団側がプラスに取ってくれたのかもしれないですね。千葉ロッテからすると、珍しく映って、うれしかったのかもしれません。

各施設がぎゅっと詰まった都城運動公園

千葉ロッテのサブロー監督は、都城を「効率的な練習ができる」と評価していた

—— サブロー監督は、「コンパクト」であることも都城の利点としてあげていました。

池田市長 それもおっしゃるとおり、大きいです。千葉ロッテの場合は、宿泊しているホテルから球場まで車で5分。渋滞は、まずしません。

都城運動公園も、沖縄のほかのキャンプ地と比べたら狭いじゃないですか。でも、メイン、サブ、屋内、ブルペンの各施設がぎゅっと詰まっているので、球場に着きさえすれば、効率よく動ける。これ、ファンもありがたいって言っていましたね。

だから、決して施設だけじゃなくって、今言ったいろんなプラスの評価が相まっての、1年で1軍っていうのは、あるのかなと思います。

あと余談ですが、市に「スポーツ部」があるっていうのも大きい。2025年度から、観光、PR、スポーツを所管する部を2つに分け、スポーツを独立させました。全国的にも自治体で単独のスポーツ部を持っているところなんて、まずないんじゃないかなと思います。

部長としては負担が3分の1になった。逆に言うと、スポーツだけに3倍の力や時間を注ぐことができる。そこに、たまたま1軍が来た。この分割をしていなかったら、もっと大変だったよねと思います。

スポーツ部の初代部長となった原口文代部長を中心に奔走した

アマチュア合宿への期待

—— 最後に今後へ向けたお話を。まだ決まってはいないと思いますが、来春、また千葉ロッテがキャンプを都城で行うと仮定して、なにか新たな企画やアイデアがあれば、言える範囲で教えてください。

池田市長 難しいご質問ですね。これは私の思いというか、勝手な想像ですよ。例えば、せっかくロッテさんですし、コアラのマーチスタジアムなので、お菓子のコアラのマーチの「都城版」を作るとか。それってカスタムで注文すれば、できるんです。

そういうファンサービスがあってもいいですし、いろんなアイデアが出てくると思います。

—— アマチュアのスポーツ団体をターゲットとしていたのが、プロ野球の1軍まできました。振り返れば、すべては“先に動いたこと”に尽きるのではないかと思います。

池田市長 そうですね。もうやっと、やっとここまできました。ただ、私のなかでは、なんとか県内のほかの自治体に追いついたかな、みたいな感覚なんです。ようやくプロが来てくれるようになったからこそ、その波及効果にも期待しています。

実際に、今年は千葉ロッテがキャンプをしたあとに、社会人野球のJR東日本東北野球部が、コアラのマーチスタジアムで初の春季キャンプを行ってくれました。

昨年4月に供用開始となった「霧島酒造スポーツランド都城(山之口運動公園)」では今年、初のキャンプシーズンを迎えて、サッカーJ1リーグの東京ヴェルディがキャンプを実施しています。

都城に、今までになかったスポーツ施設ができて、トップレベルの選手たちが来ているわけです。アマチュアのスポーツ団体からしたら、「自分たちもそこで合宿をやってみたい」と思ってもらえるはず。プロが使うということは、ちゃんとしているということですから。

ですから、もっと多くの、幅広いアマチュアスポーツ団体の皆さんに来ていただけることを切望しております。

  • 筆者
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井上 理(いのうえ・おさむ)

フリーランス記者・編集者/Renews代表。1999年慶應義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。「日経ビジネス」編集部などを経て、2010年日本経済新聞に出向。2018年4月日経BPを退職。フリーランス記者として独立し、Renews設立。著書に『任天堂 “驚き”を生む方程式(日本経済出版社)』『BUZZ革命(文藝春秋)』。

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